フェリス女学院大学オープンカレッジ - 「俳句創作講座」2010年度春学期の記録

フェリス女学院大学オープンカレッジ「俳句創作講座」

２０１０年度春学期の記録

俳句の実作や近代・現代の俳句の鑑賞を中心に、以下のような内容で開講しました。

第１回：２０１０年４月１７日（土）

［１］講座のオリエンテーション

この講座の特色や今学期の講座の進め方についてお話するとともに、俳句を学ぶための基本になる考え方についてお話しました。

［２］前学期作品集批評

前学期の作品集について講師よりコメントを行いました。

第２回：２０１０年４月２４日（土）

［１］作品相互批評

ひとり２句提出。講師のコメントを中心に、意見交換を行いました。

［２］現代俳句作品鑑賞

森賀まり句集『ねむる手』（ふらんす堂）

森賀まり句集『ねむる手』（ふらんす堂、1996年）を鑑賞。森賀さんは、日常のものごとへの向き合い方、韻律への配慮など、そのやわらかなありようが魅力の作家です。

第３回：２０１０年５月８日（土）

［１］作品相互批評

ひとり２句提出。講師のコメントを中心に、意見交換を行いました。

［２］現代俳句作品鑑賞

引き続き、森賀まり句集『ねむる手』を鑑賞。「夕立の庭しんしんと鳴つてゐし」「汗の子のぶあつき腹を抱き上げし」「スケートの両手ただよひつつ止まる」「入学の子のなにもかも釘に吊る」「座布団を積みたる春の寒さかな」。俳句という詩型とリアリティということを思います。

第４回：２０１０年５月１５日（土）

［１］作品相互批評

ひとり２句提出。講師のコメントを中心に、意見交換を行いました。

［２］現代俳句作品鑑賞

茨木和生句集『山椒魚』（角川書店）

茨木和夫句集『山椒魚』（角川書店、2010年）を鑑賞。茨木さんの作品を拝読すると、風土、生活文化といったキーワードが浮かびます。

［参考］茨木和生作品をめぐって

第５回：２０１０年５月２２日（土）

［１］作品相互批評

ひとり２句提出。講師のコメントを中心に、意見交換を行いました。

［２］現代俳句作品鑑賞

引き続き、茨木和夫句集『山椒魚』を鑑賞。たとえば、「日陰とはならざる冬の棚田かな」。茨木さんは、自己と対象の往復のなかで、さまざまなもの／ことを呼び込み、時間や空間を大きくしている、そんな魅力をもった作家ではないかと思います。

第６回：２０１０年５月２９日（土）

［１］作品相互批評

ひとり２句提出。講師のコメントを中心に、意見交換を行いました。

第７回：２０１０年６月５日（土）

［１］作品相互批評

ひとり２句提出。講師のコメントを中心に、意見交換を行いました。

第８回：２０１０年６月１２日（土）

［１］作品相互批評

ひとり２句提出。講師のコメントを中心に、意見交換を行いました。ここ数回は、批評に力を入れ過ぎ、現代俳句作品鑑賞に時間を取れなくなっています。反省。

第９回：２０１０年６月１９日（土）

［１］作品相互批評

ひとり２句提出。講師のコメントを中心に、意見交換を行いました。

［２］現代俳句作品鑑賞

今村俊三句集『鳩の頸』（竹頭社）

今村俊三句集『鳩の頸』（竹頭社、1961年）を鑑賞。著者33歳のときの第一句集。結核の重い病状を抱えていた時期ですが、「若い魂を病ましめることなく、（略）短小十七字たる俳句に、傷痍の青春を賭け、日々の生命を刻みつけて」（石田波郷『鳩の頸』序）いました。「蟇よりもあはれ仰臥の脱糞は」「父が置くベッドの端のパナマ帽」「日傘まだ冷めざる母を帰しけり」。

［参考］今村俊三作品選

第１０回：２０１０年６月２６日（土）

［１］作品相互批評

ひとり２句提出。講師のコメントを中心に、意見交換を行いました。他者の作品を批評するのは難しいことです。とくにマイナスの評価はしにくいでしょう。しかし、マイナスはプラスに転じるエネルギーを持っているのです。

［２］現代俳句作品鑑賞

引き続き、今村俊三句集『鳩の頸』を鑑賞。

第１１回：２０１０年７月３日（土）

［１］作品相互批評

ひとり２句提出。講師のコメントを中心に、意見交換を行います。

［２］現代俳句作品鑑賞

加藤かな文句集『家』（ふらんす堂）

加藤かな文句集『家』（ふらんす堂、2009年）を鑑賞。「雀来る小さな日向はうれん草」「どんぐりに穴あいてゐる冬休み」「立冬や鏡に乾く歯磨粉」などに見られる季語の斡旋の確かさ、「朝日から鳥の出てくる寒さかな」「いつぱいの根に朝が来るヒヤシンス」「裸木の公園星を飼ふやうな」などに見られる風景の切り取り方の巧みさ。

［参考］加藤かな文作品をめぐって

第１２回：２０１０年７月１０日（土）

［１］作品相互批評

ひとり２句提出。講師のコメントを中心に、意見交換を行いました。

［２］現代俳句作品鑑賞

引き続き、加藤かな文句集『家』を鑑賞。